息子を連れて95歳の祖母に会ってきた。
年の差、ほぼ1世紀。
生きてるうちに会えないと思ってたよ、と涙をためて話す祖母は思っていたよりずっと元気そうで顔色も良かった。
はじめての超老人に若干引き気味の息子は、嫌がりながらも曾祖母の膝の上に乗ってしぶしぶパンを餌付けされていた。表情は終始固かった。
祖母はけっこうユーモアあるの人で、昔から「もうすぐ死ぬ」とか本気とも冗談ともつかない感じで使ってくるのだけど、「いやいや、まだまだでしょ!」と笑い飛ばす歳でもなくなってきたし、死が近いところにあるのは事実なので今回もまたへんなリアクションと顔を返していたと思う。夫を見たらそんな感じだった。
生きてるうちにあと何回会わせられるだろう。
不吉かもしれないが、田舎の両親や祖母に会うとつい考えてしまう。
5回あるかな。どうかな。
昔、ロンドンで通っていた語学学校で、「世の中で一番不幸なことは?」って先生が尋ねて生徒が一人ずつ答えを返すという場面があった。
「子どもが親よりも先に死ぬこと」
隣りのシチリア男子が答えた。
それは当時29歳のわたしには全くない角度で、年齢も国籍も異なるクラスメイト全員のこころをぱーーんと撃ち抜いた。確実に。
あれから10年。
ずっと考えているけど、やっぱりこれ以上の不幸はないような気がする。
みんな順番に死にたいDeath。