長く会えてなかった田舎の父が仕事で大阪に出てくるというので、タイミングを合わせて息子を連れて行った。
父はじぶんの美学を生きている人で「孫にデレデレしない俺」、をその一つに入れているっぽいのだけど、仕事人間の父が出張先で1日オフをつくって待っていてくれたことに心が漏れているようでニマニマした。
あいにくその日は朝からぐずついた天気で、連れて行ってくれた動物園に着くなりザーザーの本降り。フードコートで時間をつぶすも、動物を見るどころではない感じになってしまい、結局「高いコーヒーだったなw」とつぶやいて1時間で退園。
それでも父とわたしと息子、という3人で、地元でもない場所の動物園で、コーヒー片手に雨が止むのを待っているというのはなんとも奇妙で不思議な時間だった。
この3人で動物園なんて後にも先にもないだろうと思う。
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久しぶりに会った父は、
相変わらずかっこよかった。
なんというか、父のようなタイプの「父親、大人、高齢者」をあんまり他に知らないのでぴったりくる言葉がみつからないが、強いていうなら「ダンディ」なのだと思う。
日本酒よりウイスキー。
NHKよりWOWWOW。
野球よりアメフト。
夏よりも冬、昼よりも夜が似合うのが父だ。
今回も夜の飲み相手を充てがうべく「夫」を連れていっていた。そして、ニ夜連続しっかり北新地のネオン街へと消えて行った。
結婚相手の条件なんて考えたことはないけど、こうやって父のお酒のお供をできる人を選んだのはまちがいなく自分の選択だったなぁとふたりの背中を見ながら思った。
これだけお酒のイメージがある父だけど、酔いつぶれてる姿は一度も見たことがない。
むかし家族で初詣に行ったらスナックで働くフィリピンのおねちゃんたちが、ダーリン!ダーリン!と父に声を掛けてきて、それがなんかすごく嫌だったとあとで父に話したら「アホか!笑 あれはダーリンじゃなくてダディだぞ」と笑いながら頭をぽんぽんされて、母も隣で笑ってたので、あ、そうかダディなのか、とヘラヘラして自分を納得させたのを覚えている。
ダディなら何だというのだ。笑
当時は子供ながらに香水がブワァぁとかおる夜の女性たちを敵対視していたのだけど、それを父はわたしが差別していると感じたのだろう。後日、なぜ彼女たちが日本に働きに来ているのか、フィリピンと日本の経済格差、自分がおなじ立場だったら家族のために同じことをすると思う、と話してきたことがあった。
思春期の娘と父の会話としては普通あんまりしない話題だと思うけど、それがとても父っぽくてよく覚えている。
もうすぐ75だって。
長生きしてほしいし、
死ぬときはポックリ逝ってほしい。
夫に夜の父の写真送ってと言ったらとても載せられない写真だったので昼間のツーショットを。父が見立ててくれたジャケットとリュックを背負ってご満悦な息子1歳11ヶ月。