わが家の「産後クライシス」① 〜わたしはいっつも間違える〜

月曜日、夫に酷いことを言ってしまった。

ここに書き残したくもないような強い言葉を投げて、傷つけようとして、傷つけたと思う。きっかけは些細なことだったのだけど、後悔とともに今冷静に思い返してもこうなることは必至だったような気もする。

なみなみになっていたタンク。

「飲みに行っていい?」という夫の言葉とともに、最後の一滴はしずかに投下されてしまった。

 

パーーーーん。

 

とにかく先週のわたしは余裕がなかった。「今週はちょっと忙しくなると思う」という宣言通り月曜日から夫は仕事での外出が増え、夜もそのまま飲みで、わたしはわたしで仕事で文章を書くタスクがありながらも、なかなか集中して時間がとれないことに心が持って行かれていた。

そしてもう一つのTO DO。なんとしても早く冷蔵庫を買い換えねばと思っていた。生後半年。なんとなく先延ばしにしていた離乳食をこれ以上延ばしてはダメだと心にポストイットを貼っていた。アイスも溶けてしまう冷凍力では始められないではないか。

 

そんな中、息子の顔にできた”ニキビかな?”と思っていたものが、どんどん大きくなってしまい保育士さんから「ウイルス性の可能性があるから早めに皮膚科へ」と言われてしまった。最優先TO DO発生。気にはなっていた。なっていたのだ。

 

保育園から帰り、家で仕事している夫へその話しをしたら「えー。そうかー」と仕事に戻ってしまった。そして「ちょっとまだ仕事しなきゃいけない」と言われ、わたしも仕事を持ち帰っていたため「え、そうなんだ」とあからさまなガッカリ顔をしてしまった。

夫「なに?(イラッ)」

私「いや、わたしも仕事したい」

夫「わかった、一時間で終わらせるわ」

私「うん」

 

おわかりいただけるだろうか。双方の表面張力ギリギリで溢れなかったこの局面を。夫もわたしも"飲み込む”ことで、衝突をさけつつなんとかやっていた日々だったのだ。まさに表面的には。この夜、わたしの心の中はこうだった。

 

わたしだって働いてるのに、常に夫は自分の仕事が優先されて当然と思っていてムカつく!結局息子をみるのはいつだってわたしだ。

わたしの仕事なんてどうでもいいと思ってるんだ!

イクメン気取ってるけどお風呂と寝かしつけだけじゃん!

病院だってどうせわたしが連れて行くんでしょ!

わたしが全部我慢すればいいんだ

 

これです、これ。我慢すればいいんだ、と言いつつ心閉じるやつです。

わたしは貝になりたい。ブォォォォオオオーーーーってやつです。はい。

 

過去このパターン、最後まで我慢できたことないくせに、わりと早くタンク溢れるくせに、また陥ってしまっていたんですねー。

 

さらに、余裕のなさは続きます。

......息子の出来物が良くならない。ニキビではなく「細菌」によるものだった炎症は、軟膏を処方していただきせっせと塗る日々。ただその塗り方がむずかしくて、顎の患部にピンポイントに塗っても、赤ちゃんが触ったりして広がるとその炎症自体が飛び火してしまうという。だから塗るのは寝てからの夜。寝息をたてているところにそぉーーっと近づき、スマホのライトを頼りに患部を確認。人差し指であごにぽんぽん.........腕ぶぶううウウーーーーーン!!!!いやぁぁあああーーー!by 息子

必死で両手を押さえ込み。

むっず!起こさずやるのむっず。

唇のすぐ下だけに、指が当たるとおっぱいセンサーが発動してしまうらしい。仕切り直し。もう一回深く寝たところを狙うしかない.... (夫飲み会で不在)

丑の刻・再チャレンジも、暗すぎと眠すぎでうまくできず。

 

翌朝、ほっぺたに飛び火の炎症発見。

ぴえええええええええええんん。

 

 _| ̄|○

 

 

息子はいつもと変わらないニッコニコ笑顔を向けてくれるも、赤い顎が痛々しい。

さらにほっぺたまで。

つらい。

 

わたしのせいだ。 

 

 

土曜日 〜衝突までのカウントダウン〜

 

塗り薬のプレッシャー、からの寝不足。

寝不足、からの余裕のなさは、さらなる火種を生んだ。

 

M子がはじめて息子に会いにくるという土曜日。

 

前日は飲み会で(連絡もなく)深夜に帰ってきた夫。怒られると思ったのか、朝からいつも通りを振る舞いながら息子をあやして「何時頃くるの〜?」ときいてきた。

私「12時半に駅に迎えいく」

夫「お昼どうしよっか?」

私「.........M子と外で食べてきていい?」

夫「あ......え?そんな感じ?・・・いいけど」

私「じゃあいいよ。やめるよ」

夫「いや、いいけど。俺のもなんか買ってきて」

私(無言)

 

おわかりいただけるだろうか? 

この冷ややかな攻防とすれ違いを。

多分夫はなんで怒ってんの?という感じだったと思う。

一方わたしはこうだった。

 

は?昨日は夜まで飲んで好きなだけ寝て、わたしは寝不足なのに、ランチを友だちと外で食べることさえ許されないわけ?

ってゆーーか、自分が外で飲んでるとき、わたしの夕飯なんて誰も気にしてくれないのになんで夫の昼食をわたしは気にしなきゃいけないわけ??は?ご飯チンして食べろし。

 

あのですね、注目すべきは

最初の「は?」※文字サイズ200% です。

 

この時点でふッつふつな訳ですよ。いつ着火してもおかしくない。

 

ですが、この日はランチビール1杯でヘロヘロになり帰宅。一応M子がいたから夫婦のていを保つという共同目的の下なんとか着火を逃れた。

 

かーらーの、翌朝。

冒頭「飲みいっていい?」が投下されるわけです。

 

ボッカーーーン

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画像出典:You're doing it wrong! Chinese demolition men accidentally create the leaning tower of Liuzhou | Mail Online

 

ちなみに今週3回目の飲みでした。

 

その夜、わたしの怒りはますますご発展し、一夜にして壮大な飛躍を遂げた。

 

わたしのことなんてもう家政婦としか思っていないのだろう。

夫が愛しているのは息子だけ。

どうせ浮気してるにちがいない。

はぁ.....一年前ふたりでお腹に手を重ねてうるうるしていた日々に戻りたい。

 

行くとこまでいきました。

深夜の思い出し怒り、ろくなことありません。

前半3つに至ってはほぼ妄想やん、と今なら笑えるのですがその日は悲しい真理にたどり着いてしまったとひたすらに落ち込みました。

 

これはもう夫婦存続の危機だと。

 

衝突

朝から目を合わさず、息子と保育園の準備を夫へ押し付け寝室にこもるわたし。

送り届けた夫、リモートワークのためすぐ家に戻ってくる。 

あーー、怒ってるなと完全認識しながらもこういうとき夫は話しかけてこないし、なぜか向こうも距離を置いてくる。←これは毎回謎。

 

一方、深夜からダークサイドに落ちていたわたしはわたしで、気が重いながらも一刻も早く話し合わなければと思っていた。なんの訳もわかってない息子をこれ以上巻き込んではいけない。朝もつらかったし(←自分のせい)こんなことしちゃダメだと激しく後悔していた。

 

リビングに入り第一声。

わたし「あのさ、どういうつもり?」

 

ファイっ!

 

さて問題です。

Q. この後わたしはさらなる自己嫌悪に陥ります。それはなぜでしょう?

答えを選びなさい。

(1)フガフガ言ってうまく喋れなかった

(2)夫が貝になってしまった

(3)傷つけることで自分も傷ついた

 

正解は、(3)。

勝手に傷ついたわたしは、同じだけ相手を傷つけるという愚に愚を重ね、怒愚怒愚愚愚愚愚愚愚怒愚怒りで頭がパッパラパーになってしまっていた。

ほぼ妄想へと行き着いたわたしの極論に唖然とする夫。まるでこの半年一人で育児を背負ってきたかのような言い草で、事実と乖離していることをダークサイドからぎゃんぎゃん吠え続けるわたし。

その内容が悲しすぎて(←妄想)吠えながらも悲しくなってくるわたし。

夫、悲しいかお。

 

二人、悲しいかお。 

 

 

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これにはとにかく話し合えって書いてあったし、

思ってることは溜め込まずに言った方がいいっていうし、

曖昧にせず夫婦のルールを決めると良いってよく聞くし、

 

話し合いの末【飲みは週1まで】と決めてみた。

  

そして、夫は仕事に向かいわたしは一人家に残った。

 

 

虚しい。

 

 

ただただ虚しい。

 

 

こんな結論を望んでいたわけじゃなかったのに。

本当は二人でまた仲良く過ごしたいと思っていたのに(T . T)

どこで間違った?

あれ、もしかして、ずーっと間違ってた?

妄想は一旦置いといて、確実な事実をひとつ。

感情にまかせた自分の子供じみた行為がそもそも大間違いだったことは明白だ。

 

ツイッターを開くと、仲良しのフォロワーさんが子供のハーフバースデーを旦那さんとお祝いしていた。

「わたしたちがんばったよね(乾杯)」

 

 

 

 _| ̄|○ 

 

大馬鹿だ。 

 

夫がイクメン気取っていたことなんて一度もないし、

ゴミ出しも、夕飯の洗い物だって毎日してくれているではないか。

わたしの仕事をいつだってチェックして応援してくれていたではないか。

 

 

その日は飲みに行って欲しくなかったこと、

それも本当は察してほしかったこと、

忙しくて気持ちがいっぱいいっぱいになっていること。

それを伝えればよかったのに。

  

 

 

--

仕事中の夫へメールを送った。 

 

「一人でがんばってきたみたいに言ってごめん。この半年二人でがんばってきたのに」

 

 

「俺の方こそごめん」

 

 

まだ手遅れにはなっていないと信じたい。

ここからやり直す。

 

 

②へつづく

 

※ この本については言いたいことが色々あるので改めて書く。

(009)産後クライシス (ポプラ新書)

(009)産後クライシス (ポプラ新書)

 

ふむふむ読みながらもツッコミどころも結構あって。でも今見たら初版2013年だし、そりゃあ時代とのギャップも出てくるよなと思った。 

 

#産後クライシス 

 

>> 続編はこちら

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