育児エッセイというと、漫画でも文章でも【お母ちゃん、髪を振り乱して毎日奮闘してます】的なものが多い印象で、そもそも子供好きではない私のようなタイプや育児未経験の人に向けて書いてないのかもしれないけど....あまり積極的に読むことはしてこなかった。たぶん、ママ同士の共感をベースに支持されているのだろうし、そういうものを読むと育児の大変さがどれだけ明るくコミカルに描かれていようと、「わたしに出来るだろうか」という不安の方が大きくなってしまう自分のようなタイプには合ってないなという気がしていた。
そうでなくとも、「生まれると大変だよ〜〜、寝れなくなるよ〜〜、自分の時間なんてなくなるよ〜〜、おしゃれなんて出来なくなるよ〜〜〜」と呪いのような言葉を無意識に浴びせてくる先輩ママたちはたくさんいる。言ってる側は気にも留めていないと思うが、子供好きがベースにない私にとってはそんなこと言われても今の段階で覚悟のしようもないし、、、とその言葉だけが妙に残って消化不良を起こしているような気分になっていた。
『母ではなくて、親になる』
タイトルに惹かれて手に取った一冊。
これがとても良かった。
作家である山崎ナオコーラが、「母として」ではなく、自分のまま子供に関わっていく日々を綴っている。いろんな先入観をいったん置いといて、自分は〜というニュートラルな視点で一つ一つの物事を捉えているのが心地いい。
あぁ、こういう向き合い方なら私にも出来るかもしれない、そうしたいと思った。それから、夫に頼ることを必要以上に遠慮するのをやめようと決めた。
「妻が夫の育児に協力的」というセリフはまず聞かない。そして私の夫は協力的ではない、と思う。夫は私のために子育てをしているわけではないからだ。
普通に親として行なっていることを、どうして「サポート」だの「協力的」だのと表現するのだろう。なんだか、すごく変だ、と私は感じてしまうのだ。
いまだって子供のいる場所に出かけると、立ってるだけで夫の周りには子供がわらわら寄ってくるし、その隣で私はずっとまごまごしている。
うちの場合、育児において彼の方が上手なことはきっとたくさんある。
周りがなんと言おうと、「チーム親」として自分たちらしく真剣に向き合えばいいのだと彼女の姿勢に勇気づけられた。
きっと赤ん坊はとてもかわいい。
変に気負っていた力が抜けて、
そんな未来が素直に楽しみになった。
いいぞ、ナオコーラ!ありがとう、ナオコーラ!
これは多くの人を励ます一冊だと思う。
夫にもすすめたい。
#山崎ナオコーラ #読書