ブライアン、メイ、、?
というレベルの知見で観に行って、
すっかりクイーン熱に当てられてしまった。
そして昨日は、寒気がひどく早めに布団に入ったのだが、直前にみていた坂上忍のクイーン特番が脳裏にへばりついていたようで、高熱にうなされながらもクイーンのパワフルなライブ映像が延々リピート再生されるという、たいそう疲れた経験をした。これぞ寝ても醒めてもだな!というよくわからない頷きをして、このブログに臨んでいる。
あれは、20代前半の頃。アパレルブランドのPRとして働いていた私は、この時期、各出版社が主催する忘年会やらクリスマスパーティーやらに大忙しだった。今思えば、人付き合いこそ不得手な人間がよくその職種をやってたなと思うし、だからいつも必死で無理をしていたんだなと思う。
そんな時、編集さんに誘われて行った『Rolling Stone 日本版』の忘年会が、今でも忘れられない。
六本木の小さな箱で、広告部や販売部なる背広を着た人種と、一丁前に仕事の顔をした私のようなチャラついた人種が入り混じるカオスな空間。
そこに登場したのが、クイーンだった。
いや、正確にいう。純日本人のおじさん4人から成るコピーバンドだった。全員、中年。
白いタンクトップを着たフレディのお腹はぽっこり出ていて、それを突き出すようにしてステージを縦横無尽に動き回る。そうかと思えば、動きを止め、会場をぐるりと見渡し、熱っぽく拳を上げ、客を煽る。
ライブが始まるやいなや、私の目はフレディ(似のおじさん)に釘付けだった。私だけじゃない、会場は一瞬にしてクイーン(のコピーバンド)に飲み込まれた。
背広メンもチャラガールたちも、これが何の会だったのかも忘れて夢中でフレディを見ていた。そして、最後にはみんなで肩を組み、「ウィーアーザチャンピオン」を大合唱したことは言うまでもない。
映画の終盤、まさかあの瞬間がライブエイドのオマージュになっていたとは!とくだらない観点で興奮していたのは、日本中で私だけだったと思う。
あの日、中年4人のクイーンは、ちぐはぐだった会場を一つにした。みんなの中にある見えない壁を吹き飛ばした。私はあの景色が忘れられない。
だから、わかる。
LIVE AIDでウェンブリースタジアムにいた人たちの気持ちが。必然的にああなってしまう彼らの魔力も。楽曲のパワーも。
だって、
コピーバンドであの破壊力だぞ。
だぞ!!!
もし、まだ活動していれば、このブームできっと大忙しだろう。やったね!
今まで人並みに色んなライブに行ったが、私史上五本の指に入る良いライブだったと思っている。(ちなみに、矢沢B吉のライブでタオルを投げたこともあるが、ランクインはしていない。)
あ、あと人生で初めて行ったライブが栗田貫一だが、決してモノマネびいきな訳ではないと添えておく。
考えてみたら、本物のクイーンだって年齢的には中年といえるかもしれない。中年?ちがうか。あんな唯一無二の存在に対して、年齢でくくることなんてどうでもいいか。
あー、また観たい。
映画もライブも。
名前がわからないのが悔しいが、きっと音楽雑誌が呼ぶくらいだから、至って真剣にやっていたコピーバンドなんだと思う。写真は本物。