12月に入り、受けてる仕事をほぼほぼストップした。
(フリーランスのため産休がないのがつらみ)
もう予定といえば週イチの病院くらいだ。
「じゃあー、生まれてなかったらまた来週ね」
と言って先週別れ、
「生まれなかったねぇー😌」
と言って今週も会った。
最初チェンジがよぎったおじいちゃん先生とも、かれこれ8ヶ月以上の付き合いになる。
わたしが通ってるのは総合病院なので、他の先生もいるのだけど、担当医をきっちり決めて進める方針なのか13回の健診すべてこの先生だった。
一度だけわたしが曜日を間違えて行ってしまったことがあったが、その日は外来ではなく病棟だったのに、頭をポリポリとかきながらテヘヘと降りてきてやっぱりこの先生が対応してくれた。
最初こそ、電子カルテの扱いに四苦八苦しているおじいちゃんに、大丈夫か?と疑いの目を向けていたけど、今ではすっかり信頼しきっている。
どうやら病棟の助産師さんや看護師さんたちにも好かれているっぽいというのもわかってきた。
高齢者入り混じる殺伐とした総合病院の待合いで散々待たされても、
診察室の扉を開けると、毎回先生がニッコニコで迎えてくれるから
ついこちらも笑顔になってしまう。
バリバリ、パキパキ外来をさばいている看護師さんたちも、先生のデスクの周りだけはほんわかムードでどこか棘が抜けてるように見える。
臨月に入ってからは
「もうねここまでくると推定体重もむずかしいんだよねェ〜」
と毎回言いながらエコーを測っている。
そして、週数の基準値を一つ一つ説明しながら
睾丸がちゃんと二つに割れてること、
羊水の量が十分足りてること、
これが減ると赤ちゃんが危険なこと、
臍帯がちゃんと三本見えてること、
そういう分析と大事なポイントを何週にも渡って
毎回ちゃんと伝える温度をもってしゃべってくれる。
ふつうに考えて外来で一日何十人もみてたら、同じ質問もされるだろうし繰り返し説明することにも多少うんざりする瞬間はあるはずだ。それを一切見せず、同じテンションでちゃんと説明してくれることにこちらがどれだけ救われるか。
医師だって人間だ。
常に人(患者)と接する仕事で、気持ちの波もあるだろう。
それでもおじいちゃん先生はいつ会っても感情にブレがないように見える。
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いつでも機嫌良くいる、っていう東大入るより大変な能力を手に入れてるおじいちゃん先生はきっと努力の人だ。気分屋でいることを「正」として生きている人は、そこに対してなんの努力もしていないのだから。
愛想がいい人、いつも機嫌よくいる人は、得てして天然とか何も考えてないみたいに思われることがあるけど、機嫌の悪い才能のあるやつより才能ありまくりではないか!と常々思っている。
おじいちゃんだって、年中不機嫌なおじいちゃんも沢山いる。
何が言いたいかというと、
わたしはすっかり先生のファンになっているのだ。
「あーー、赤ちゃん先生に取り上げて欲しいです」
と言ったら
「月・金の昼間なら僕かな」
と現実的な答えが返ってきた。
もう年齢的に夜勤はやってないそうだ。
それに、火曜から木曜は別の産院でお産を手伝っているらしい。
「もうね、僕もお産は引退したいんだけど、婦人科に入ってくる医師ってもうみんなやりたがらないんだよね。ほら、不妊治療だとか高度なオペを専門にする婦人科の方をやりたい人は沢山いるんだけど、お産はぜんぜん人気ないの!」
と笑っていた。
たしかに、不妊治療とかの方が儲かりそうだ。
勿論お金だけじゃないだろうけど。
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陣痛の時、あの先生の顔みたら安心できる気がするんだけどな。
もうそればっかりはしょうがない。
「生まれなかったねぇー😌」
と言ってまた来週も診察室で会ってるかもしれない。
#39週 #臨月 #マタニティ生活