感情が忙しい人の隣で。

私の体の中にいるというのに、胎児の成長は健診に行かないとわからない。

ケルトンで見えたらいいのに。

6ヶ月までは4週間に一度。これが結構長い。

 

次の健診で問題なかったら、両親に連絡しよう。

次の健診で問題なかったら、会社に言おう。

次の健診で問題なかったら、あの友達に会おう。

次の健診で問題なかったら、温泉でも予約しようかな。

次の健診で......

 

そんな風にいつしか「健診日」が生活の中の一つの区切りになっていた。

病院に行く日が待ち遠しくも不安で、エコーで成長を確認できた帰り道には、静かな高揚を抑えるように一人で駅までの道をゆっくり歩いた。

 

「順調?」と聞かれて「はい」と迷いなく答えられる妊婦がいるだろうか。少しずつお腹が目立つようになってきた私に、相手は世間話の延長で聞いているとわかっているのに「...たぶん...今のところ。いや、健診まだ先すぎてよくわかんない...」と面倒くさい答えを返してしまうし、「じゃあ、来年のその頃は3人だね」と無邪気に言われると、いやまだ何があるかわからないから、と食い気味で心の声を返している。

それでも、一週一週を重ねることがとてつもなく長く感じた初期を思えば、比じゃないくらい毎日が一週間が、ぴゅーーーんと過ぎていく。

 

昨日の健診では、夫が仕事を中抜けして一緒に来てくれた。散々「無理しなくていいよ」と言ったのに来た。私にとっては4週間ぶりだったが、彼にとっては4ヶ月ぶり。

エコー画面にうつる我が子の大きさに「うわぁぁあああ」と声をあげたかと思うと、長くなってきた手足や足の裏、はっきりと映る背骨、ドクドクと力強く動いている心臓、その一つ一つを「...ぅわぁ」と言いながら食い入るようにみていた。先生は慣れた手つきでテキパキと内臓や手足、頭の大きさを計測していく。その仕事を邪魔しないようにと静かになったかと思うと、今度はズビズビ...っと鼻をすする音が聞こえてきた。

ベッドに横たわってる私の位置からはみえなかったが、感情の忙しさだけはよく伝わってきた。

 

帰り道、夫はとても満足げだった。

あー私いつもこんな顔してるんだろうなと思った。

  

f:id:suratanmen:20190830195244j:plain母子手帳に挟みっぱなしにしているエコー写真もだんだん溜まってきた。次は糖負荷検査

#24週目 #妊娠中期