前作『降伏の記録』を読んでから、しばらくこの人とは距離を置こうと思っていたのだけど、一年以上経ったいま、発売を知り本屋に走ってしまった。
彼女の弱さやずるさ、身勝手さ、真っ直ぐさ、激しさが嫌いなのに読んでしまう。
知り合いでもない他人の日記をこんなに何冊も読んじゃうってなんなんだろう。
嫌いというか、イライラするのだ。
弱いのに逞しくて、地味なのに激しくて。
本を読んでて作者のことを嫌だなぁと思ったら普通次の本なんて買わないのに、その感情のまま発売されるたびにまんまと買って読んでいる。植本一子の夫ECDの本も全部読んだし。
大ファンやん。笑
今回はタイトルの通り、ECDが亡くなったあとの日々を綴っている。綴っているっていうと誰か読者を想定した穏やかなエッセイみたいに聞こえるが、彼女の場合はどこまでも自分のために書いてる日記で、誰かに共感してほしいとか、誰かの心に届けたいとかそういう類のものではない。
同じ東京で、同じ時代を生きてる人の日記を私が勝手に読んで勝手にイライラしているのだ。
日々はいたって平凡なのだけど、植本一子は激しい。激しいから読んでて疲れる。
彼女にイライラする理由は、自分にも同じ弱さがあるからだとわかっている。
でも、今回はすこし大人にみえた。
とくに亡き夫ECDへのめまぐるしい感情の変化が印象的だった。わたしはまだ経験したことがないけれど、身近な人を失うことは、その人との思い出を生きるというよりも、存在しない相手との対話のなかで関係をまた新しく作っていくことなのかもしれない。
次出したら、またどうせ読む。
ファンだから。
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