わたしはそれを「奇跡」と呼ぶんだぜ

4日間のニューヨーク出張中、2日間、全米オープンを観にいった。

9/5
大坂なおみ vs ツレンコ
錦織圭 vs チリッチ

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9/7
ナダル vs デルポトロ
錦織圭 vs ジョコビッチ

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なおみは圧倒的に強かったし、プレーでもインタビューでもすっかり会場を味方にしていた。こんな頼もしい若者がいる未来は明るいと思った。ジョコ戦は残念だったけど、4時間の死闘を繰り広げたリチッリ戦の錦織は、凄まじい集中力と粘り強いプレーで間違いなくその日一番の盛り上がりを作っていた。ナダルに挑んだデルポトロもすごかった。厳しいコースを攻め合うラリーが続いたタイブレーク2万人の会場がシーーーンと静まり返り、パーン、パーンと球を打つ音だけが響くー、まさに息を呑む試合だった。

 

そういえば、アンドレ・アガシも観戦に来ていた!スクリーンに映ったときの歓声たるや完全にレジェンドのそれ。悲鳴と爆発みたいなスタンディングオーベーションの拍手が鳴り響き、若い世代は携帯をかまえ、上の世代は目を赤くしていた。

 

 

 

あぁーーーーー、

 

もう、、、

全然仕事してない。

 

 

まじで。

 

まさかこんな日程になると思わなかった。

チケットが前夜に取れると思わなかった。

手の届く値段だと思わなかった。

男女ベスト4に残ると思わなかった。

会場がこんな近いとは思わなかった。

 

思い返せば、

着いた夜、ホテルのテレビを付けたのがまずかった。ビール片手に観たのがまずかった。あれ、これもしかして、、、とチケットを調べたのがもっとまずかった。

 

——

 

なにを隠そう、私はまぁまぁの錦織ファンなのだ。長年応援してきた。英国に住んでいた時期を含め、ウィンブルドンは過去3度、もちろんロンドンオリンピックも観にいった。

 

試合のスケジュールは、急遽決まることが多く、圭を見ようと思えば会社を休まねばならなかった。当時、イギリスの会社で働いていて、「今日休みたいです。というか全英オープンのチケットが奇跡的に取れたので休みます」とメールを送ったら、「人生一度だから。もちろん楽しんでおいで」とボスから返信がきた。勝ち進んだため、結局そのときは1週間に2回休んだ。同年には同じ会場でロンドンオリンピックもあった。休んだ翌日、会社にいくと私のパスワードが「wimbledon」に変更されていた。歳下のおしゃれなボスは、いじわるまで最高にお洒落だった。

 

錦織はいつも私を狂わす。

いや、休ます。

 

あらためて振り返ってみたら、全然今回だけじゃなかった事実に、自分で驚愕している。

 

さも奇跡が重なったように、行くしかないでしょ!!!とワーワー騒ぎ、仕事そっちのけで自分を甘やかし誘導していたのは、ぜんぶ自分だった。昔から何も変わってない。ひく。

 

まともな感覚なら、たとえどんなに行きたくとも我慢するのだ。テニスの試合結果を仕事より優先させていい訳がないのだ。仕事がある日のチケットを血眼で探して、取れたことを「奇跡」と呼んでいるのは私だ。

 

今回も同じことをやっただけだった。出張中で、休み扱いになってない分、より悪質だとも言える。

 

バレたら、クビになってもおかしくないことなんだろうか。正直よくわからない。

とはいえ、テレビに映ったらまずいという意識はあった。人生ではじめてWOWWOWの独占放送ナイスと思ったし、念には念をいれて普段ぜったい被らない白いキャップまで買った。帰り道、TBSと日テレからインタビューいいですか?と声をかけられたが「すいません、、っ」と下を向き足早に去った。

 

罪は裁かれなければいけない。

この制裁はいつか来るんだろうか。

 

今のところ自首するつもりはない。

逃げ切りたい。

 

というわけで、くだらないことを書こうとしたらロサンゼルスに着いた。

 

 

出張はもう少し続く。

 

一発逆転の収穫を得るべく、

死ぬ気で仕事する。

 

後悔はない。

 

f:id:suratanmen:20180909115257j:plain↑カリフォルニアから一人で錦織を応援しにきていた彼が隣の席だった。錦織についてめちゃくちゃ詳しくて、試合中もみんなのリーダーになっていた。さらに奥のファミリーも、その奥も錦織サイド。奇跡の即席チームKが結成されるという激アツ席だったのだ。あ、また奇跡って言ってしまった。

 

愛と平和!あいとへいわ!

スポーツは世界を幸せにする。

 

今までのことなんて、無かったかのように働き出すんだぜ。

 

f:id:suratanmen:20180909115523j:plain#全米オープン #出張 #サンボマスター #飲酒運転撲滅

 

追記 なおみがやってくれた!セレーナの感情の波はいつものことにしても、ブーイングは表彰式までしつこかった。でもあれは、決してなおみへのブーイングではなく、間違いなく審判と大会運営に対するものだった。だから、強くなれ、なおみ!と泣きながらエールを送った。

 

追記2:セレーナのキレている姿が例によってライブ中継される中、解説の人が「エモーション・ギアが入ったときの彼女は、劇的に好転することがある。その逆もあるけどね(笑)だから、さぁ皆さんここからが見ものですよ」と盛り上げていた。エモーション・ギアっていう表現があるのかと。セレーナのキレっぷりに、その言葉があまりにぴったりで頭に残ってしまった。もし上司や誰かから感情的にキレられることがあったら、この言葉を思い出して“あー、ギア入ってる入ってる”と冷静になれる気がする。

#メモ #英語