お出かけ用のニット帽をかぶせて、さぁ出かけようかと抱っこしたらニッコニコでこちらを見ていた。
パシャリ。
夫へ送信。
アーーうーーと声を上げて楽しそうにしている息子に、一旦出かけるのをやめて鈴のおもちゃで応戦。
「あれー、ご機嫌さん!楽しいの?楽しいねェー」と膝に乗せた息子に話しかけながら、小さな顔をじっと見ていると、とつぜん胸が一杯になってしまった。
あんなに大きかった帽子が、ぴったりになった。
退院の朝、はじめて洋服を着せ、小さな頭を支えながら夫婦二人がかりでおそるおそるニット帽をかぶせたあの日から2ヵ月。
ロンパースもニット帽もぶかぶかで、これが小さくなる日なんてずっとずっと先だと思っていた。
細くて頼りない身体は、いつの間にかぷくぷくと丸くなり力強く動くようになった。
グーーンと突き上げる拳。
キッチンに行くわたしを不思議そうに追いかける目。
激しく動くムチムチの脚。
感情を訴えるようになった泣き声。
弾けるようなまん丸の笑顔。
あまりに小さく、少しでも目を離すと生きることを簡単にやめてしまいそうだった赤子は、いつのまにか一丁前になっていた。
毎日24時間みているというのに、まったく驚いてしまう。
あの日、ずっとずっと先だと思っていた未来は、たかが2ヶ月先だったのだ。
もうあの頃の息子には会えないし、2ヶ月後、いまの息子には会えないと思うとどうしようもない寂しさが押し寄せてきた。
きっと育児なんてその繰り返しなんだろう、とわかった気になりながらも、それでも今の一瞬一瞬はとくべつな何かがあるような気がしてしまう。
小さいけど、もう小さくない。
成長はうれしいが、さみしい。
親とはなんとも勝手な生き物だ。
クリスマスにと母が編んでくれたニット帽。
あらゆるモノを容赦なく捨てることで周囲に恐れられている私だが、これだけは捨てられる気がしない。
結局、そうやって物が増えていくんだろうなぁ。
#生後2か月 #オアシス #littlebylittle